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かきのきのあるいえ
柿の木のある家
壺井 栄
「柿の木のある家」山の木書店、1949(昭和24)年4月20日<br>「海のたましひ」大日本雄辯會講談社、1944(昭和19)年6月14日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 15,460 字 · 32 页
「みてやっておくれ、おまえたちがけんかをしないように、二人生まれましたよ。」
フミエと洋一は足音をしのばせて、赤ん坊のそばへよってゆきました。
「洋一にそっくりよ。洋一も生れたとき、その通りのかおでしたよ。そしてそんなふうに赤かったのよ。それからほら、ひたいにつむじがあるでしょう。フミエと同じでしょ。」
みていると、赤ん坊のかわいさは、二人の心の中でだんだんひろがってきました。そのうれしさは口になど出てこないうれしさです。言葉でいったりすると、損をするようなうれしさです。二人はだまってあかずにながめていました。
「さ、もうええ、早うごはんたべて学校へゆかなくちゃ。」
おばあさんにおい立てられると、洋一は急にさか立ちをして、そのままくるりくるりとひっくりかえりながら、でいの間へぬけました。これはうれしい時やきまりのわるい時などにする洋一のくせなのでした。
「あぶないでないか洋一、赤ん坊の上にころんだら、どうするの。」
おばあさんがたしなめると、洋一はなおのことくるり、くるりとやってみせ、
「大じょうぶさ、赤ん坊に見せてやってるんだい。これができなかったら、体操はゼロだぞ。