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かきのきのあるいえ

柿の木のある家

壺井 栄

「柿の木のある家」山の木書店、1949(昭和24)年4月20日<br>「海のたましひ」大日本雄辯會講談社、1944(昭和19)年6月14日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 15,460 字 · 32 页

青空文庫

そしてもうあと二つというときに、急に柿の木の下で倒れてしまいました。それきり正気にかえらず、二日間というもの高いびきをかいて眠りつづけ、そしてとうとう亡くなられたのです。去年の五月十八日のことでした。フミエや洋一にとってもそれは大人たちにおとらないほど悲しい、心にのこるできごとでした。あとでおばあさんが、

「昔から柿の木を大じにする人じゃったがのう。おさかなの骨でも何でも自分で根もとへうめてやりよんなさった。なんでもおじいさんの小さいときに、おじいさんのおじいさんがつぎなさったというから、柿の木でも兄弟のように思うとったんじゃろな。石が重とうて実をつけられないとわかると、わが兄弟のつらさのように気がもめて、からだの悪いのもわすれてとりのけてやったんじゃろに。」

そんなふうにいってなげきました。

その年は秋がきても、ほんとに柿はただの一つもなっていませんでした。そしてまた年があけました。もうすぐおじいさんの命日です。フミエと洋一は柿の木の下でその枝をながめ、おじいさんを思い出しました。

「花がついてるよほら、あすこにも、あすこにも。」

柿の小枝にぽつりぽつりとついている、青い小さいつぼみをフミエが指すと、それをみた洋一の声もいきいきと、