轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かきいろのかみふうせん
柿色の紙風船
海野 十三
「新青年」1934(昭和9)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,032 字 · 28 页
黙っているお蔭で、遂に私は素晴らしいことを発見した。それはあのラジウムを、安全に獄外へ搬びだす工夫だった。まず大丈夫うまく行くと思われる一つの思い付きだった。
その日、昼食が済んで、囚人たちは一旦各自の監房へ入れられ、暫くの休息を与えられた。やがて鐘の音と共に、またゾロゾロと列を組んで、作業場に入っていった。そのとき私は、あのラジウムを裸のままで持ち出した。それは柿色の制服の、腰のところにある縫い目に入れて置いた。
作業場へ入ると、私は一同に準備を命じた。私は組長だったから、作業の初めにあたって、一同の面倒を見てやるため、あっちへいったり、こっちへ来たりすることが許されていた。
「オイ、材料を見せろ」
と私は痩せギスの青年に云った。
「へえ、これだけ出来ています」
私はその紙風船の花びらの束を解いて、パラパラと引繰りかえしていたが、
「おい、一枚足りないぞ」
「え?」
「ナニ、いいよいいよ」と私は云いながら、隅ッこに駄目な花びらが乱雑にまるめてあるところへ寄った。そして中から、一枚の柿色の花びらを取った。「こいつを入れとこう」
「それは駄目です」
柿色の花びらというのは、実は不合格にすべきものだった。