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えどかとうきょうか
梵雲庵雑話
淡島 寒月
淡島寒月『梵雲庵雑話』。同一底本的分册已合并为一书。收入:江戸か東京か、明治十年前後、銀座は昔からハイカラな所、寺内の奇人団、亡び行く江戸趣味、土俗玩具の話、活動写真、梵雲庵漫録、諸国の玩具、我が宗教観、凧の話。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,841 字 · 73 页
父はその名を嫌って余り名乗らなかったのでしたが、印形がありました。これは明治十年頃の事でした。その後今の向島の梵雲庵へ移って「隻手高声」という額を掲げて、また坐禅三昧に日を送っていたのでした。けれども真実の禅ではなく、野狐禅でもありましたろうか。しかし父の雅の上には総て禅味が加わっていた事は確かでした。
私も父の子故、知らず識らず禅や達磨を見聞していましたが、自分はハイカラの方だったので基督教が珍らしくもあったし、日本で禁止されたこの宗教に興味も唆られて、実は意味は分らなかったが、両国の島市という本屋で、金ピカのバイブルを買って来て、高慢な事をいっていたものでした。またその頃駿河台にクレツカという外国人がいまして、その人の所へバイブルの事を聞きに行った事もありました。明治十年頃でもありましたろうか。その後森下町へ移ってから友人にすすめられて、禅を始めて、或る禅師の下に入室した事もありました。とにかく自分も凝り性でしたから、その頃には自室で坐禅三昧に暮したものでした。また心に掛けて語録の類や宗教書を三倉や浅倉で買った事もありました。その宗教書も、菎蒻本や黄表紙を売った時、一緒に売ってしまいました。