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もりのいしまつ

森の石松

山中 貞雄

「シナリオ・臨時増刊号」1937(昭和12)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,949 字 · 49 页

青空文庫

「そうか……じゃ二番目に強いのは」

「二番目は小政だよ。清水港は鬼より怖え、大政小政の声がするって唄にもあるじゃねえか」

「じや三番だ。三番は誰です」

「三番は大瀬半五郎」

「四番は」

「桝川仙右衛門」

「五番は」

「法印大五郎」

「可笑しい。出て来ないね」

「爺っつあん何が出て来ねエんだ」

「じゃ六番だな。きっと六番だ。六番目は誰です」

「追分け三五郎」

「七番は」

「尾張の大野の鶴吉」

「八番は」

「尾張の桶屋の吉五郎」

「九番は」

「三保の松五郎」

「十番は」

「問屋場の大熊」

「十一番は」

「よせやい、爺っつあん。俺の知ってるなァそれだけだ。いくら次郎長の児分が強いからと言って自慢の出来るのはそんな者だ。あとはもう大した奴は居ねえよ」

「そうかな」

と源兵衛、面白くなく立ち上る。

お静、先刻からクスクス笑ってた。

源兵衛が店から、

「お客さんお前さん詳しい様だが、余り詳しくないね。次郎長の児分で肝心なのを一人忘れちゃ居ませんか」

「肝心なのを?」

「まッ、その酒を呑み乍ら、もう一度よっく考えて貰いましょう」

「爺っつあんそりゃ無理だ。いくら考えたって駄目だよ。