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もりのいしまつ

森の石松

山中 貞雄

「シナリオ・臨時増刊号」1937(昭和12)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,949 字 · 49 页

青空文庫

「そんな事訊いてやしねえ。手紙を早く出せよ」

七五郎、傍から、

「石松、兎に角、草鞋をぬいで上れよ、俺ァ一ッ走り吉兵衛親分を呼んで来るから?」

「おッ、七五郎待てよ。吉兵衛を呼ぶのはよせ」

「何故だい? お前に逢い度がってるぜ」

「彼奴は逢いたがってるだろうが、俺ァ逢い度くねえ訳があるんだ。後でお前にだけ訳を話すよ」

「そうかい、じゃ呼びに行かねえ。俺もあの親分は虫が好かねえんだ」

「七五郎、久し振りで一杯やろう」

「おう、飲もう」

「お静、早く出せ、何処にあるんだ」

「なに?」

「手紙じゃねえか」

「誰の手紙?」

「此奴ッ、あんまりくどいと兄さん怒るぞ」

「怒って御覧」

「なにッ」

「これでしょう、嫌やァよ」

お静、かくして居た手紙を出す。

「オイ見せろよ、早く」

「いやァよ」

「出せよ」

「嫌ッ」

「オイ、これッ」

と、たあいない中に。

(WIPE)

S=奥座敷

縁側。

石松、手紙読み乍ら柿を喰っている。

お静、座敷へ酒を持って来る。

「お待ち遠さま」

七五郎、

「石松、さッ一杯どうだ」

石松、入って来る。

七五郎、

「暫く居るンだろう」

「今夜帰るつもりだ」