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もりのいしまつ

森の石松

山中 貞雄

「シナリオ・臨時増刊号」1937(昭和12)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,949 字 · 49 页

青空文庫

道理で腕と言い度胸と言い見事なものだったよ」

と言ってお静に、

「この事は、誰にも喋言っちゃいけねえぞ。いいか、かかり合になると五月蝿えからな」

石松、立上って七五郎に、

「出掛けようか」

お静、

「兄さん、また出て行くの? 御飯食べて行ったらどう。妾すぐ仕度しますから」

「いや、要らねえ。愚図々々して親爺が帰って来ると、又叱言の一つもきかなくちゃならねえからな」

「兄さん、此頃毎晩遅いのね」

「今夜も亦、遅くなるから戸じまりはしねえで置いてくれ」

S=茶店の表

石松、出て来て、

「あッ、帰って来た。七五郎急ごう」

と二人去る。

入れ違いに源兵衛爺さん帰って来る。

S=店

お静、迎えて、

「お帰んなさい。疲れたでしょう。すぐ御飯にしますから」

「石松は居ないのか? 彼奴又出て行きゃあがったな」

「え、たった今」

「毎晩、毎晩、困った奴だ。親の苦労も知らねえで」

S=旅籠「泉屋」の離れ座敷

賭場が開かれて、

「丁だ。半だ」

と騒々しい。

隣の部屋で負けた石松、冷酒を呑んでると、七五郎も負けたらしい。

「石松、お前どうだった。済まねえけど少し貸してくんねえ」