轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かんおけのはなよめ
棺桶の花嫁
海野 十三
「ぷろふいる」1937(昭和12)年1~3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 42,845 字 · 86 页
ところが今のざまですっかり嫌いになっちゃった。嫌いも嫌いも大嫌いさ。あたしゃもうお前と歩かないよ。飛んだ思いちがいさ。大河から土左衛門の女でも引張りあげて、抱いて寝てるがいいさ。意気地なしの、大甘野郎の、女たらしの……」
お千はまた興奮して、地団太を踏み、往来の砂埃をしきりと立てていた。
杜は後向きになって、じっと足を停めていた。
「じゃお前さんともお別れだよ。あたしゃ好きなところへ行っちまうよ。――ああ、あのとき横浜の崩れた屋根瓦の下で焼け死んじゃった方がどんなに気持がよかったか分りゃしない。薄情男! 女たらし!」
そのとき杜は、顔をクルリと廻して、お千の方を見た。お千は不意を喰らって狼狽し、開きかけた口を持て余し気味にただ大きな息を呑んだ。
杜はツカツカとお千の方に寄っていった。彼の勢いに呑まれたお千がタジタジとなるのを追いかけるようにして、杜はお千の手首をムズと補えた。肉づきのいい餅のように柔かな手首だった。
「――僕と一緒についてくるんだ。逃げると承知しないぞ」
「ええッ。――」
「意気地なしか大甘野郎かどうか、君に納得のゆくようにしてやるんだッ」