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かんおけのはなよめ
棺桶の花嫁
海野 十三
「ぷろふいる」1937(昭和12)年1~3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 42,845 字 · 86 页
彼は急いで中を明けてみた。中には口切煙草が沢山入っていた。その煙草は「敷島」だった。
「ああ『敷島』だ。――」
胸躍らせながら、彼は中に残っている煙草の数を数えた。丁度十六本ある。
十六本の「敷島」――そして土間に落ちている四本の「敷島」の吸殻!
これ等は、杜が事件に対して嫌疑薄であることを証明してくれるであろうと思ったので、そのまま放置して置くことにした。彼は煙草入れを、また元のように、お千の寝床の傍に抛りだした。
だが、この煙草入れの持ち主は、誰であろうか?
夜がすっかり明け放れた。
戸外は大きな叫び声がしている。誰か通行人が、お千の死体を見つけたのだろう。杜は外に出たものか、小屋の中に待っていたものかと思案に暮れたが、どうしても小屋の中にジッとして居られずになった。それで裏口の幕を押し開いて、集まってきた朝起きの人たちと同じく、お千のブランコ死体の下に馳けつけた。
急報によって警官の出張があり、杜は真先に警官の手に逮捕せられた。
警官が後から後へと何人もやってきた。背広服の検事や予審判事の姿も現れた。現場の写真が撮影されると、お千の死体は始めて下に下ろされた。