轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しいのき

椎の木

豊島 与志雄

「経済往来」1934(昭和9)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,870 字 · 52 页

青空文庫

良一がそこにはいりかけると、軒燈の光がうすくさしてる石の門柱のうしろに、背のひょろ長い青年が、帽子はかぶらず、外套の上から腕組をしてつっ立っていた。良一は伯父の話を思いだし、嫌な気持になって、一先ず通りすぎた。暫くして、戻ってきてみると、青年は先程と同じ姿勢で立っていた。良一は顔をしかめたが、思いきってはいっていった。

「もしもし……。」

声がしたので振向くと、良一の方をすかし見て云った。

「川村さんをお訪ねなさるんですか。」

良一は黙っていた。

「只今、お留守ですよ。」

良一がなお黙っていると、青年は鋭い眼付で見つめながら寄ってきた。

「もう一時間ばかりすれば、帰ってこられます。僕も先生に逢いに来たんです。ここで待っていても仕様がないから、一緒にお茶でものみにいきませんか。」

別に危険な人物でもなさそうだったので、良一はつき合うことにした、或はそれが伯父の話の男かも知れなかった。或は川村さんが逢うことをきらってる男かも知れなかったし、それならば、それをはぐらかすことは川村さんのためになるにちがいなかった。

良一は彼と並んで歩きだした。彼は既に行先がきまってるかのように、黙ったまま良一を導いていった。