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ウニデスちょうりゅうのかなた

橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇

橘 外男

橘外男『橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:ウニデス潮流の彼方、グリュックスブルグ王室異聞、ナリン殿下への回想。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 247,361 字 · 483 页

青空文庫

ながら、言わば満邸涙に打ち湿っているとでも言ったような調子だったのであります。我々はいよいよ訝しく思わずにはいられなかったのです。しかし神ならぬ身のまさかにその時、これほどの事件がこの邸の内を領していようとは、夢にも気の付こうはずもなく、我々は侍女のエリネの後から大理石の廊下を踏んでいたのでしたが、いつもここへ来るたびごとに繰り返す驚きは……おそらく欧州一の帝国の宮殿といえども、これほどまでの優美さは持っていなかったであろうと思われるほどの、燻んだ瀟灑さだったのです。

高い高い穹窿形の格天井……そこに吊された何千年来のものともわからぬ古風な龕灯や、どっしりとした井桁の枠の嵌まったこれも穹窿形の円窓や、そして両側に列なった三十幾つかの部屋部屋……第一公議室……小公議室……人民控室……政務室……執政公室……居間……書斎……大食堂……そして我々のいる別邸と同じく、それよりももっと規模の大きな微温室……油湯……塗膏室……納涼室……化粧室……菫の薫りのする清冽な水を噴き上げている屋内噴水池……。

我々の今歓待に預っている老貴族エフィゲニウス氏が、今こそは一切の公職を辞して悠々自適の生活を送っていましたが、以前はこの都会の市長とも言うべき最高執政を務めていた頃の名残りの部屋部屋の前を通り過ぎつつも、その壮麗さにはまた