轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
03 第三部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 117,781 字 · 235 页
そうした事情はいつの間にか次郎にもわかっていたし、それに、肥田が姿を消した時のお祖母さんの騒ぎようはずいぶんひどかったにも拘らず、俊亮自身は割合落ちついており、肥田の兄にそのことを知らしてやったきり、強いて本人の行方を捜そうともしなかったので、彼は、それをさほどの大事件とも思わず、肥田がいなくなって、父はかえって安心したのだろう、ぐらいにしか考えていなかったのである。
彼は、しかし、恭一の手紙で、新たにそのことを思い出し、なお、その後の店の様子などを考えているうちに、このごろ、麦洒や日本酒の罎詰をならべた商品棚ががらんとなって来たことや、夕方の忙しくなければならない時間に、二人の小僧たちがぼんやり腰をおろしている様子などが眼に浮かんで来て、不安はいよいよつのって行くはかりだった。
で、彼は、その後、毎日学校の行きかえりに、店の様子にとくべつ注意を払うようになった。すると、気のせいか、さびれは日にまし目立ち、掃除までが行きとどいていないような気がするのだった。ただ、いつもと変らないのは、土間につみあげてある七八本の四斗樽だったが、それも、ある日彼が学校の帰りがけに小僧たちと冗談を言いながら、それとなく指先でたたいてみると、どれもこれも空ばかりのようだった。