轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

03 第三部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 117,781 字 · 235 页

青空文庫

た。そして、春月亭のお内儀がいよいよ店を出て行ったのがわかると、いかにも皮肉な笑いをうかべて、仕切りの簾をあけ、

「次郎うまくやったね。いい気味だったよ。」

と、何度も二人にうなずいて見せた。仙吉が、

「しかし、このままではおさまりますまい。かえって藪蛇になるかも知れませんぜ。」

と、心配そうに言うと、

「そんな気の弱いことでどうするんだね。渡したものに、まるで酒の気がないというのではあるまいし、文句を言って来たら、こちらの上酒はそんなのでございますって答えてやるまでさ。ねえ、次郎。」

と、仙吉をたしなめる一方、いかにもそれが次郎の最初からの肚だったと言わぬはかりの調子だった。

次郎は、その時までまだ土間に突っ立ったまま、春月亭のお内儀が去った表通りを睨んでいたが、お祖母さんにそう言われると、急にこれまでの興奮からさめてしまった。彼の耳には、お祖母さんの言葉がたまらなく下劣にきこえ、その下劣さが、そのまま自分の行為の下劣さを説明しているということに気がついて、ひやりとするものを感じたのである。

彼は、何かに驚いたようにお祖母さんの顔を見上げた。それから、そろそろと視線を売場の酒甕の方に転じたが、その眼はしだいに冷たい悲しげな光を帯び、最後に、さっき自分がひねった栓口に釘付けにされたまま、人形の眼のように動かなく