轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
03 第三部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 117,781 字 · 235 页
このことについては、次郎は彼の日記に一言もかいていない。しかし、彼にとってはそれは決してどうでもいいことではなかった。というのは、先す第一に、俊亮やお芳や大巻一家がそれを非常に喜んでくれたし、家主である栴檀橋の茶屋の小母さんが、それでやっと彼を俊三の兄だと確認するようになったし、そして彼自身としては、物ごとが何もかも自然で正常の状態に帰りつつあるように感じ、いよいよ「摂理」の詩を書いてみたい衝動にかられて来たからである。
だが、次郎はまだやはり「摂理」の詩を書くには若すぎていた。「摂理」は、次郎をして真に「摂理」を礼讃せしめるために、なおいろいろと彼のために準備してやらなければならないことがあったのである。その準備の一つは、すでに彼の一家が今度の家に引っこして間もなくからはじまっていたが、それは大巻の徹太郎叔父の結婚を機縁にしたものであった。
徹太郎の結婚式は、俊亮の鶏舎が完成して、ひととおりの落ちつきを見せるのを待ちかねていたかのように、歳暮にせまって行われた。迎えられたのは隣村の重田という旧家の娘で、名を敏子といった。敏子には父母のほかに、兄が一人と妹が一人あり、二人とも結婚式にはむろんつらなっていたが、次郎が、式場にならんだ花嫁方の親類の顔の中で、真先に覚えたのは、この二人の顔だったのである。