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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

03 第三部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 117,781 字 · 235 页

青空文庫

」

次郎は、あべこべに詰問するような調子だった。

「宝鏡先生は、君には、いつも先生の揚足をとって面白がる癖がある、と言われるんだ。」

「揚足をとるって何ですか。」

「先生のちょっとした言い損いや書き損いをつかまえて、とやかく言うことだよ。」

まるで、国語の質問にでも答えているような言い方だった。

「すると、先生にどんな誤りがあっても、生徒は默っている方がいいんですか。」

次郎は、もうすっかり意地わるくなっていた。彼には、小田先生が、宝鏡先生の方に非があるのを知っていながら、強いてそれを弁護しようとしているとしか思えなかったのである。

「うむ――」

と、先生は行きづまって、変な笑いをもらした。すると、次郎は、その笑いに食いつくように言った。

「先生、僕たちにそれをはっきり教えて下さい。僕たちは、先生が間違いをなさるのを面白がるなんて、そんなことちっともないんです。僕たちはただ困るだけです。だから、それを見つけたらすぐそれを言うんです。それが悪いんですか。」

「それは悪くないさ。しかし、わざと教室をさわがすために、それを言うのはいかんよ。」

「僕には、さわがすつもりなんかなかったんです。