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かしゅう『ぎょうじつ』のちょしゃに

歌集『仰日』の著者に

宮本 百合子

「新日本歌人」1951(昭和26)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,558 字 · 4 页

青空文庫

そこにないあわされて来る自然鑑賞では、作者がアララギの格調というものに即していて、決して生活の歌ほどの独自性に立っていないということは、まことに興味あるところだと感じました。ある作は、生活の歌にある生の感覚の独自さとぴったりしていて、うたれます。しかしあるものはどんな条件で生活するどんな人でも一定の感覚と技法――アララギの枠の中での――でよめる作品であるというのも少なくないように思えました。

それから芸術的に言って、最も戒心のいるのは、アララギ流の儀礼による作歌の場合です。

この三つの点を相互に縫って流れているものの間に、こんにちのアララギ歌人すべての課題がひそんでいると感じます。現代は、アララギがかつて現代短歌史にわけもった積極の意義の故に、その歩みを制約する流派としての諸問題が、見なおされる時期に入っていると思われますが、いかがなものでしょうか。

『仰日』の作者のみならず、わたくしたちは、散文・短歌何によらず、その道での常套で完成したのでは意味がないと思います。まして『檜の影』の同人でいられる方々の御生活、生きゆく思いの痛切なことは、言葉をつくせず、それだからこそ、存在のあかしとして作歌されつつあると信じます。