轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しょうせつのかきおき
正雪の遺書
国枝 史郎
「サンデー毎日」1924(大正13)年4月1日春季特別号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,367 字 · 15 页
容易に踏み込んで来られますのに、それを来ないというものは、私一人を逃がせよという貴郎からの内命があったからでしょう。
しかし私は逃げません。同志と一緒に自殺します。
同志の者は今も私を限りなく信じて居るのです。
今回の露見に関しても、私が奥村八右衛門をして訴人させたとは夢にも知らず、忠弥の粗忽の結果であろうと勝手に定めて居る程です。
そして恐らく私の遺書を、貴郎が発表なさらぬ限りは慶安謀叛の真相とその発覚の顛末については、多くの後世の史家達も首を捻ることでございましょう。
待ち飽ぐんだものと見えまして、捕り方衆の立ち騒ぐ声が表や裏から聞こえてきます。踏み込んで参るのももう直ぐでしょう。いよいよ死ぬ期が参りました。もうこの遺書を書きつづける間も、たくさんはあるまいと存ぜられます。
遺書は覚善に託します。私を初め同志の者を悉く介錯した後で、単身囲みを突き破って必ず遺書はお届けすると、彼は大変意気込んで居ります。
いよいよ踏み込んで参りました。乱れた跫音が聞こえて参ります。しかし早速にはこの部屋へは入って来ることはなりますまい。鴨居から鴨居へ麻縄を張り渡してあるからでございます。