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しとはなししたひと

死と話した人

小川 未明

「童話文学」1928(昭和3)年11月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,429 字 · 5 页

青空文庫

そして、どこともなくあちらの方から、鈍い波の音がきこえてきました。砂原の上を、その音は、ころげてきたのでした。

ド、ド――

ド、ド、ド。

「おばあさんは、なにをしているのだろう?」

彼は、近づいてみると、無数の小さなビーズを、ひざのあたり、黒い衣服の上にまいて、その一つ一つに針を通しながら、それらの赤・白・青・黄・紫のビーズを糸につないでいました。

「なるほど、きれいなビーズだが、これも外国から持ってきたのかもしれん。なんという、あの青い色は、ペルシアのつぼのように、あくどく、冴えた色をしていることだろう……。」

彼は、しばらく立って、ぴかぴか光る針と糸につながれてゆくビーズの色にひきつけられていました。

電線を吹く、風の音。

波の音。

ド、ド――

ド、ド、ド。

いつまでたっても、ほかに、だれも上がってこなかった。また、耳を傾けても、汽笛の音さえきこえなかったのでした。

「いまにも、汽車がきたら、ビーズがひざにあって、おばあさんは、どうして立ち上がるだろう?」

そう考えると、いぶかしくなりました。紙にもつつんでないから、みんな地にこぼれてしまうだろう……。