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さつじんきょうのはなし

殺人狂の話

浜尾 四郎

(欧米犯罪実話)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,549 字 · 21 页

青空文庫

暴行事件がここではからずももう一つあかるみに持出されたのである。

一九〇一年三月、彼は、ジェリヤ・ブルマールという二十二歳になる婦人を襲った事がある。

彼はその日彼女を自分の室にさそいこみ、それから急に乱暴をはじめて女を虐待し、ついにブルマールを床の上に仆して口から出血させるに至った。そうして最後に、彼女を脅迫しながらおそるべき行為に出でようとしたのである。

ブルマールは、従うと見せて、相手の隙を見てほんとうに危い所で身を以って僅かに逃れた。

マルテに対するソレイランの行為も丁度この事件と同じような性質をもっている。

彼はマルテをまずナイフでおどかし、沈黙をまもって彼の暴力に従う事をせまったのである。然るにマルテが泣き叫んだので彼はあわてて絞殺したわけである。

一九〇七年七月二日。重罪裁判所で彼の公判が開かれた。

被告席に着いた彼の姿は一言で云えば、獰猛な鷲のような印象を人々に与えた。

凡て犯罪の証拠があるにも不拘、彼は、犯行の事実を全くおぼえがないと否認した。即ち無意識行為であるという主張をやった。

彼が犯行後如何に冷静であったかという一つの証拠として、彼がマルテの死体を運んだ電車の車掌の言葉をここに記すと、