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さつじんめいろ

殺人迷路

佐左木 俊郎

09 (連作探偵小説第九回)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,774 字 · 8 页

青空文庫

紙上に掲載しなかったろうか。そして、それを、宮部京子事件の担任検事である二木検事の手柄にしようとしたのであろうか。――二木検事のような人物にとって、このような仕打は非常に大きな侮辱であること、従って、このことは、村井にとっては、恋愛に破れて以来の、深刻な紳士的復讐を意味するのだった。

「打明けて云えば、先刻君から電話がかかって来た時、僕は君の確信ありげな主張をあざわらう気持だったが、こころみに前科調書をつくって見ると、指紋がぴったり適合するではないか。あの時、ずらかる前に、うっかり残した指紋が、奴の致命的な落度となったわけだ。それにしても、僕はまだ、君が、星田代二の素性をどうして看破したか、そのいきさつを聞いていないんだけれど、よろしかったらどうか――」

内心の侮辱を忍びつつ、これも、所謂『教養階級』の虚飾的な外交辞令であった。

「そのことなら――僕ア、星田代二という探偵作家の出現当時から疑惑の眼を向けていたのだよ。君も、僕と星田が飲友達だってことを知っているだろうが、元来、僕が星田に近づいて行ったのも、なんとかして奴の尻尾をつかまえたいという遠大な志を抱いたからなんだ。