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さつじんめいろ
殺人迷路
甲賀 三郎
10 (連作探偵小説第十回)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,806 字 · 14 页
星田さんは牧太郎と京子さんの企みに落ちて、浦部家にどんな事が起ったかも知らないで、京子さんと異郷の空で、爛れた生活を送っていました。その間に、牧太郎は父の金をすっかり拐帯しました。その為に姉は自殺し父は狂い死をした事は、みなさんの御承知の事です」
真弓の長い物語りに、津村と村井は恰で悪夢から醒めたように、暫くは茫然としていた。が、やがて漸く気をとり直して、津村が訊き始めた。
「星田が山川牧太郎と云う名で、あなたの家に出入していたんですって」
「ええ、無論父のいない時ですけれども。召使達は星田さんを山川牧太郎だと思っていました」
「そうすると、つまり、山川牧太郎の指紋として、警視庁や検事局に残っているのは実は星田の指紋なんですね」
「そうなんです。ですから一致するのは当然ですわ」
「で、実際に金を持って逃げたのは、真の山川牧太郎だったんですね」
「そうです。ですから山川牧太郎と、それから宮部京子も、私の為には父の仇、姉の仇です。京子さんはその後星田さんの所を逃げて、牧太郎と共同生活をしていました。やはり似た者夫婦とか云って、京子さんには、星田さんのような方より、牧太郎のような男がいいのでしょう。