轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
さつじんき
殺人鬼
浜尾 四郎
「名古屋新聞」1931(昭和6年)4月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,139 字 · 13 页
観察! そうだ観察だね、君だつてたびたび女がああ並んでかけているところを見てはいるんだが、そういう事実に気がついていないんだ」
「ドイル先生が、シャーロック・ホームズ氏にそんな事を盛んに吹かしているが、やつぱり実際上にも役に立つかね」
「立つこともあり、立たぬこともありさ。探偵小説の御利益は、ないとも云えるし大いにあるとも云えるね」
「じや、探偵小説なんてものは、実際、君みたいな探偵に役に立つ事があるんだね」
「作そのもの全体の御利益はまず疑わしい。しかし出てくる名探偵の片言隻語のうちには、なかなか味わうべきありがたい言葉があるよ」
彼はこういいながら、アップルパイをフォークでしきりとほおばりはじめた。
私は二週間ほど前、赤坂のある料理屋で、高等学校時代のクラス会が開かれたとき、最近英米で素晴らしい評判をよんでいる名探偵小説を二、三冊彼に貸したことを思い出した。
「こないだ君に貸した本はどうだつたい」
「あ、あれか、そうそうこないだはありがとう。皆一気に読み通したよ。みんな面白かつた」
「そりやよかつた、……しかし役には立たないかい」
藤枝はこのとき、ちよつと黙つて考えこんだ。