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ぼこうふっこう
母校復興
佐々木 邦
「現代」大日本雄辯會講談社、1926(大正15)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,891 字 · 15 页
全校生徒八百名教師三十二名は建物の下敷になってしまいます。プル/\」
と校長は天井を仰いで小首を傾げた。卒業生も釣り込まれて見上げたが、今の今直ぐ落ちて来るようにも思えなかったから、ホッと一息ついた。
「この際校舎を新築するに約二万円を要します。既に捕らぬ狸の皮算用で見積りも設計も出来て居りますから、追って御覧に入れます。本校卒業生二千三百余名、二万円を頭割りに致しますと……」
と老校長の懇談は三十分ばかり続いた。次いで教頭の詳しい説明のあった後、早川さんが、
「これだから御馳走の前に一寸覚悟を促したんだが、誰も気がつかなかったね」
と笑いながら、寄附申込書を配った。三十円が最低で、松金の主人公が五百円はずんだ。百円の口が十からあったので、総額千九百円に達した。そればかりでなく欠席の連中へも夫れ/″\手を廻して、三十七年卒業生丈けで三千円引き受けることになった。
「喜楽軒の洋食は高くつくね」
「こんな会を年に一度ずつやりたがったのは誰だい?」
なぞと校門を出ながら冗談を言うものがあった。しかし善いことをして心持の悪い筈はない。意気軒昂、目も自ら高きを望む。