轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
どくぐさ
毒草
江戸川 乱歩
「探偵文藝」奎運社、1926(大正15)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,692 字 · 10 页
一刹那、私の目には、背景が空ばかりだった為か、それが、非常に大きな異形のものに見えた。併し、次の刹那には、それは、物の怪などよりはもっと恐しいものであることが分った。というのは、そこに化石した様に、つっ立っていたのは、今云った私の裏の哀れな郵便配達夫のはらみ女房だったからである。
私は顔の筋肉が硬ばった様になって、無論挨拶なんか出来なかった。先方でも、空洞の様なまなざしで、あらぬ方を見つめていて、私の方など見向きもしなかった。この無智な四十女はいうまでもなく、さっきからの私達の話を、すっかり聞いていたのだ。
私達は逃げる様にして家に向った。私も友達も、妙に黙り込んで、分れの言葉もろくろく交さなかった。二人は、殊に私は、思わぬ女の立聞きに、そしてその結果の想像に、すっかりおびやかされていた。
一旦家に帰った私は、考えれば考える程、あの女房の様子が気になり出した。彼女はきっと始めから、例の植物の用途の説明の所から聞いていたに相違ない。私はあの時、その植物を用いる時は、どんなにやすやすと、少しの苦痛もなく堕胎を行うことが出来るかについて、可也誇張的な説明をした筈である。