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みずのおんな

水の女

折口 信夫

「民族 第二巻第六号」1927(昭和2年)年9月、「民族 第三巻第二号」1928(昭和3年)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,525 字 · 38 页

青空文庫

変った考えでは、みつはは水走で、禊ぎの水の迸る様だとするのもある。

みぬま・みつは、おなじ語に相違ない。それに若さの形容がつき纏うている。だが神賀詞に比べると「出居」という語が「水葉」の用法を自由にしている。動物・人間ともとれる言い方である。ただそうすれば、みつは云々の句に、呪詞なり叙事詩なりの知識が、予約せられていると見ねばならぬ。それにしても、この表記法では、すでに固定して、記録時代の理会が加っているものと言えよう。

この二つの詞章の間に通じている、一つの事実だけは、やっと知れる。それはこの語が禊ぎに関聯したものなることである。みぬま・みつはと言い、その若いように、若くなるといった考え方を持っていたらしいとも言える。古代の禊ぎの方式には、重大な条件であったことで、夙く行われなくなった部分があったのだ。詞章は変改を重ねながら、固定を合理化してゆく。みつは・みぬまと若やぐ霊力とを、いろいろな形にくみ合せて解釈してくる。それが、詞章の形を歪ませてしまう。

宮廷の大祓式は、あまりにも水との縁が離れ過ぎていた。祝詞の効果を拡張し過ぎて、空文を唱えた傾きが多い。