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みつかいどうこしょう

水海道古称

柳田 国男

「民間傳承十五卷三號」日本民俗學會、1951(昭和26)年3月5日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,399 字 · 5 页

青空文庫

そうしてそこに住む者の全部が承知しなければ、地名などは行われるものでない。どんな気のきいた字で書いておこうとも、多数が読んでくれなければ、地名として通用するはずがない。

つまりは地名が生まれたのと、それが文字となって世に出たのとは、その間に大分の時の開きがあったのである。水海道はいつの頃、誰が書き始めたものか私は知らないが、ずいぶんと変った字を当てたものと、かねてから思っていた。今からもう六十何年も前に、私はこの下流の布川という町に住んで、毎度この地名の起源について人が評定するのを聴いていたことがある。ここが水路の要津であるゆえに、すなわち水の海道とつけたのだろうという一説を、あるいはそうかとも思ったことがあるが、今考えると町の名に街道は少しおかしい上に、蚕養川の水運がどんなに古く始まっていようとも、それまで地名がなくてすんだということは解しがたい。多分はミツカイドウの名は、久しく後にこういうややもっともらしい漢字を当てるようになったのが新しいのかと、おおよその見当をつけていた。

ところが今度富村氏の注意によって、いつの時代かの報国寺朱印状に、御津海道村とあるというので、一つの手掛りが得られたわけである。