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みつかいどうこしょう
水海道古称
柳田 国男
「民間傳承十五卷三號」日本民俗學會、1951(昭和26)年3月5日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,399 字 · 5 页
その詳しいことはここでは述べきれないが、ともかくも江戸期に入るまでの旧新開地は、ほとんと全部がこの垣内であり、従ってまたこの地名は全国の隅々に及んでいる。
関東各県の実例を見ると、当初の慣行の多くは埋没し去って、ただそこがかつて垣内の地であったことを示すに過ぎず、従って耳で記憶せられていたカイトの地名には、垣外、開戸、替戸、街道など、さまざまの文字が宛てられ、また海渡とも海道とも書いている例も少々ではない。水海道というのがただ一つしかなかったならば、どんな想像でも描かれようが、よその地方の多種の類型を比べて行くと、この地がもと重要な舟着場を持った新しい集落であるがために、古く御津垣内と呼ばれていた地であることが、おおよそ誤りなく推定し得られるかと思う。
水をこの地方の人たちが、今でもミツと発音していることは、この歴史的なる宛字を、一般と自然なものにしたかとも思われ、今さらその復原を主張しようとはしない。信州アルプスのいわゆる上高地などは、これを神河内と改めるがよいという説があり、またその方が実地に近く、かつ実行者もすでに現われているのだが、あんな閑人の物好きばかりが行く土地でさえも、なかなか容易には最初の当字はなくならない。