轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

みずがめ

水甕

豊島 与志雄

――近代説話――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,082 字 · 26 页

青空文庫

仁木三十郎は、猫の自由恋愛に敬意を表して、縁先や庭の隅や菜園の中など処かまわず、彼等がうるさく鳴きたて騒ぎたてるのをじっと我慢していましたが、やがて、その賑やかな一団がどこかへ退散してしまい、それと共にクマが行方をくらましてしまったのが、気にかかりました。

平井夫婦は、クマを迎え入れたと同じ平気さで、クマの失踪を見送りました。さかりがついて遊び歩いてるのだから、やがて帰ってくるだろうと言っていました。だが富子の方は、クマの行方を気にして、町内の知人に逢えば聞きただし、用達しの往来にはあちこちに眼を配りました。

ただ一度、十日ばかりたった午後、クマはのっそり帰ってきました。頭や首筋に傷や皮膚病をこさえ、後半身は泥に汚れていました。それを富子は抱きかかえ、魚の骨をしゃぶらせ、バタをなめさせ、乏しい米飯をたべさせ、刷子で全身をこすってやりました。クマはまん丸な眼を空想的に見開いてるだけで、なされるままに任せ、やがて縁側に寝そべりました。ところが、富子がちょっと席を立ったすきに、またどこかへ行ってしまいました。

そのことを聞いて、仁木は富子に一種の憤懣を感じました。