轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
岡本綺堂『江戸情話集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:籠釣瓶、箕輪心中、両国の秋、心中浪華の春雨、鳥辺山心中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 203,779 字 · 407 页
正直いちずなお時はよくよくこれを有難いことに心得て、年頭や盂蘭盆には毎年かかさずお礼を申上げに出た。
そのうちに年が経って、殿様も奥様もお時に泣く泣く送られて、いずれも赤坂の菩提寺へ葬られてしまった。家督を嗣いだ嫡子の外記は十六歳で番入りをした。勿体ないが我が子のようにも思っている若様、どうぞ末長く御出世遊ばすようにと、お時は浅草の観音さまへ願をかけて、月の朔日と十五日には必ず参詣を怠らなかった。
「おれが家督をとるようになったら、きっとお前の世話をしてやるぞ」
子供の時からそう言っていた外記は、約束を忘れるような男ではなかった。彼が家督を相続した頃には、運のわるいお時はもう嬬婦になってしまって、まだ八つか九つの十吉を抱えて身の振り方にも迷っているのを、外記が救いの手をひろげて庇ってくれた。そのおかげで先祖伝来の小さい田畑も人手に渡さずに取り留めて、十吉がともかくも一人前の男になるまで、母子が無事に生きて来たのであった。
「番町さまのありがたい御恩を忘れちゃ済まないぞ」と、お時は口癖のように我が子に言い聞かしていた。外記とはいわゆる乳兄弟のちなみもあるので、お時が番町の屋敷へ行くたびに、外記の方からも常に十吉の安否をたずねてくれた。