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けっせんかわなかじま うえすぎけんしんのまき
決戦川中島 上杉謙信の巻
――越後守安吾将軍の奮戦記――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,278 字 · 19 页
信玄は我から四五丁離れたところに陣をたてた。
信玄は高坂弾正に一万二千の兵を附し、山伝いに余の背後から突き落す策戦だった由である。信玄自身は八千の兵を率いて川中島に陣し、夜明けと共に挟み撃ちにかけるツモリであったらしい。
信玄の放った間諜は、ついに一名といえども復命し得た者がなかったそうである。
したがって信玄が知り得たことは、善光寺のわが軍に何らの動きも起らなかったことだけであった。したがって、信玄は大胆に動くことができなかった。余の目算よりもかなり控えめに陣を立てた。したがって、夜が明けたとき、彼我の陣に四五丁の距離のあるのを余は認めて、彼の怯懦を笑うとともに、甚だ失望をしたのであった。
敵は我軍の出撃を予期しておらぬから、かなりおくれて余らを発見した。しかし余らは四五丁の距離をつめる必要のために完全なる奇襲を行うことができなかった。
我軍の鉄砲組が火蓋を切った。つづいて弓隊が之につぎ、つづいて長柄の槍組が突入した。円形を描いていた我軍は次から次へと新手をくりだして敵陣に突入したのである。みるみる信玄の陣立ては総くずれにくずれ立った。敵の十二陣中くずれざるものわずかに三。