轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

けっとうじょう

決闘場

岡本 かの子

「ペン」1936(昭和11)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,298 字 · 23 页

青空文庫

アイリスを中に挟んで日頃潜在して居た二人の憎悪が表面切って燃え立った。

ジョーンの父は庭師であった。近頃では彼の父のお顧客はロンドンの西郊の方にばかり殖えた。欧洲の何処の都会でもそうであるように、ロンドンでも東端は貧民街であった。立派な邸宅を持つ富豪は西へ、西南へと居を移した。ジョーン達の住んだロンドン東端の借屋は、余り遠くお顧客の庭から離れてしまった。で彼等は先月初めに西端の或る横町へ引越さねばならなかった。その方がジョーンの父にとっては非常に都合がよかった。引越しでジョーンは近所のアイリスと離れて住まねばならなかった。それはジョーンを一寸淋しそうにも思わせたが、又何となく楽しいアイリスとの別居のようにも仮想させた。彼は下町に在る大学からの帰途、アイリスを訪ねた。その都度二人は見違えるような新生面を以って向い合った。色々の事が談したかった。些細な事まで聴きたかった。彼等は教会小学校へ始めて登校した頃からの二人の間に行われた、たわいも無い我慾の事を想い出した。これから、どうしなければならないかと言うことも一寸は考えた。それよりも二人は現在何処かへ出かけたかった。