轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
じんちょうげ
沈丁花
宮本 百合子
「文芸春秋」1927(昭和2)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,478 字 · 19 页
と云った。はる子は紹介を書きつつ、或る不便を感じた。それは、千鶴子がこういう場合必要なだけ自分を打ち開いてくれていないので、×夫人に彼女を推薦しようにも個人的な材料のないことであった。はる子は已を得ず学歴のことだの、専攻したという科目だのについて書いた。
×夫人のところで不規則ながら収入のある仕事が与えられたという手紙が千鶴子から来た。間もなく使に出た家のものが、
「すぐそこで小畑さんにお目にかかりましたよ」
と帰って云った。朝だったので、はる子は附近に住む×氏を訪問したにしろ時刻が早いと思った。
「そうお、大変早いのね」
「この近所に御越しになりましたんですって。弟さんと御一緒だそうです」
「急にここへ引越しました。家は古くて奇麗でありませんが、心持のよい人達です。×夫人のところへは歩いて十分で行けます」という意味のノートを貰った。×夫人の仕事でどの位の金がとれるのであろう。弟と二人暮せるのだろうか。はる子は一時安心しただけで、凝っと考えると矢張り千鶴子の生活を危く感じた。
然し、この当座の仕事だけでも大分彼女の心持を休めたらしく見えた。春の日光が屋外に出ると暖く眩ゆいが、障子をしめた斜南向の室内はまだ薄すり冷たく暗いというような日、はる子はぽっつり机の前に坐っていた。