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かわあかり
河明り
岡本 かの子
「中央公論」1939(昭和14)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,244 字 · 98 页
「お店のお交際いというと……」
私は娘の活動範囲が、そこまで圏を拡げているのに驚ろいた。
「よくは存じませんですが、組合のご相談だの、宴会だの。きょうも船の新造卸しのお昼のご宴会に深川までお出かけになりましたが……」
その夕方帰り仕度をしている私の部屋の前で、娘の声がした。
「まだお在でになりまして」
盛装して一流の芸者とも見える娘。娘に「ちょっと入って頂戴」と云われて、そのあとから若い芸妓が二人とお雛妓が一人現れた。
部屋の主は私女一人なのに、外来の女たちはちょっと戸惑ったようだが、娘が紹介すると堅苦しく挨拶して、私が差出した小長火鉢にも手を翳さず、娘から少し退って神妙に座った。いずれもかなりの器量だが、娘の素晴らしい器量のために皺められて見えた。
娘は私には「この人たち宴会場から送って来て呉れたのですけれど、筆をお執りになる方には何かのご経験と思いついて、ちょっとお部屋へ上って貰いましたの」といった。
少しの間、窮屈な空気が漂っていたが、娘は何も感じないらしく、「みなさん、こちらに面白そうなことを少し話してあげて下さい」というにつれ、私も、「どうぞ」