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かわあかり
河明り
岡本 かの子
「中央公論」1939(昭和14)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,244 字 · 98 页
私は取り留めもない感想に捉われながら、娘を見ると、いよいよ不思議な娘に見える。娘はモデレートな夏の洋装をしているのだが、それは皮膚を覆う一重のものであって、中身はこの回教の寺院の中に置けば、この雰囲気に相応わしく、ヒンズー教の精力的な寺院の空気にも相応わしかった。そればかりでなく、この地の活動写真館のアトラクションで見た暹羅のあのすばらしく捌きのいい踊りを眺めていた時の彼女に、私はその踊りを習わせて、名踊子にしたい慾望さえむらむらと起ったほど、それにも相応しいものがあった。
一体この娘は無自性なのだろうか、それとも本然のものを自覚して来ないからなのだろうか。また再び疑わねばならなくなった。
それから凡そ七十哩許り疾走して、全く南洋らしいジャングルや、森林の中を行くとき、私は娘に訊いた。
「どう」
「いいですわね」
「いいですって……どういうふうにいいの」
「そうねえ……ここに一生住んで、自分のお墓を建てたいくらい」
そういう娘の顔は、さしかける古い森林の深いどす青い陰を弾ね返すほど生気に充ちていた。
時々爆音が木霊する。男達は意味あり気な笑いを泛べて、