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ほうえつクラブ
法悦クラブ
野村 胡堂
「小説の泉」1949(昭和24)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,176 字 · 28 页
私は此男の名前を白状させる為に六ヶ月の間妻の阿夜子を責めさいなみました。――が女の剛情なのは鉛の熱湯でもいけません、あんなに痩せ衰えて、今にも倒れそうになり乍ら、阿夜子は到頭口を割らなかったのです」
「――――」
会場を走るものは、氷のような無気味な戦慄でした。誰も口をきく者はありません。が、茶谷金弥は極めて冷静な調子で、斯う続けるのです。
「――、今、私の眼の前で、あの男が死んで行く――古い葡萄酒に交ぜた毒薬で、――私の心は、一年以来結ばれて居た私の心は、窓を開けて五月の空を仰ぐようにカラリとした、――阿夜子、介抱してやってはどうだ、お前の恋人は、七転八倒し乍ら、それ、それ、死んで行くではないか」
茶谷金弥の指は、ピタリと佐々村村一の苦悶の姿を指して、腹を揺すぶるような、こみ上げる笑を笑うのです。
「――――」
阿夜子は黙って立ち上りました。手を伸すと、葡萄酒の瓶はまだすぐ傍の小卓の上にあったのです。
「あッ」
あまりの事に、誰も留める隙もありません。佐々村村一のコップに注いだ葡萄酒を、半分は注ぎこぼし乍ら、阿夜子は二杯、三杯と、続け様に呷ると、勝ち誇った夫――大魔王――茶谷金弥の顔を振り向いても見ずに、