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ちゅうもんのおおいりょうりてん

注文の多い料理店

宮沢 賢治

宮沢賢治『注文の多い料理店』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『注文の多い料理店』序、注文の多い料理店、さるのこしかけ、茨海小学校、どんぐりと山猫、狼森と笊森、盗森、烏の北斗七星、月夜のでんしんばしら、水仙月の四日、山男の四月、かしわばやしの夜、鹿踊りのはじまり、雪渡り、気のいい火山弾、土神ときつね、楢ノ木大学士の野宿。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,269 字 · 223 页

青空文庫

」

そして「貝の火兄弟商会」の、

赤鼻の支配人は帰って行った。

次の日諸君のうちの誰かは、

きっと上野の停車場で、

途方もない長い外套を着、

変な灰色の袋のような背嚢をしょい、

七キログラムもありそうな、

素敵な大きなかなづちを、

持った紳士を見ただろう。

それは楢の木大学士だ。

宝石を探しに出掛けたのだ。

出掛けた為にとうとう楢ノ木大学士の、

野宿ということも起ったのだ。

三晩というもの起ったのだ。

野宿第一夜

四月二十日の午后四時頃、

例の楢ノ木大学士が

「ふん、この川筋があやしいぞ。たしかにこの川筋があやしいぞ」

とひとりぶつぶつ言いながら、

からだを深く折り曲げて

眼一杯にみひらいて、

足もとの砂利をねめまわしながら、

兎のようにひょいひょいと、

葛丸川の西岸の

大きな河原をのぼって行った。

両側はずいぶん嶮しい山だ。

大学士はどこまでも溯って行く。

けれどもとうとう日も落ちた。

その両側の山どもは、

一生懸命の大学士などにはお構いなく

ずんずん黒く暮れて行く。

その上にちょっと顔を出した

遠くの雪の山脈は、

さびしい銀いろに光り、

てのひらの形の黒い雲が、

その上を行ったり来たりする。

それから川岸の細い野原に、