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りゅうせんスパイ
流線間諜
海野 十三
「つはもの」1934(昭和9)年~1935(昭和10)年頃
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,982 字 · 70 页
そうすることは不可能でない迄も、例の地点に於けるわれわれの計画は少くとも三箇月の停頓を喰うことになる」
「マッチの棒は、もう心配はいらぬよ」
「そうあってくれないと困るがネ、ときに早速仕事を始めたいと思うが、僕は何を担当して何を始めようかネ」
「そうだ、もう愚図愚図はしていられないのだ。こんなに停頓することは、われわれの予定にはなかったことだ。そうだ、先刻本国の参謀局から指令が来ていた。それを早速君に扱ってもらおうかなァ」
といって首領は立ち上ると手紙を取るために机の方にいった。
「ほう、本国の指令とあれば、誰よりも先に見たいと思う位だ。どれどれ見せ給え」
「ちょっと待ち給え。――おや、これはおかしいぞ。封筒があるのに、中身が見えない……」
「右足のない梟」はすこし周章気味で、机の上や、壁との間の隙間や、はては机の抽出まで探してみた。だが彼の探しているものはとうとう見付からなかった。彼の顔はだんだんと蒼ざめてきた。
「どうしたというのだネ。指令書は……」
「全く不思議だ。見当らない。この部屋には僕の外、誰も入って来ない筈なのだが……」
「もし指令書が紛失したものなら、これは重大なる責任問題だよ」