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りゅうこうさっかのし
流行作家の死
野村 胡堂
「新青年」1932(昭和7)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,876 字 · 28 页
いろいろ不都合なことがあるにも拘らず、小栗桂三郎は自殺して果てたと、警察も世間も信じ切って了うのも無理のないことでした。
大きい遺産は、別居して居ると言っても、まだ離婚の手続を履んで居ない、夫人の浪子のところへ転げ込むでしょう。
その中で、たった一人、小栗桂三郎の自殺説を信じない者がありました。それは関東新報の社会部長千種十次郎で、小栗と友人関係でその性格やら人生観やらをよく知って居たせいもあるでしょうが、一つは新聞記者の本能で、何んかしら腑に落ちないところのあるのを隠そうともしませんでした。
「勇、君は何う思う?」
「何を」
「小粟桂三郎の一件だよ、君はあの発表を少しも疑わずに信ずることが出来るか」
到頭堪兼ねて、足の勇にチョッカイを出したのは、それから又五日目でした。
「と言うと?」
「俺はどうしても小栗を自殺だとは思わないよ、あれはキット人に殺されたんだ」
「何う言うわけだ、兄貴、少し詳しく話してくれ、俺も腑に落ちないことがあるが、口へ出してハッキリ言うほど、考が纏ってない」
「御同様だかね、勇、第一小栗は有名な楽天家で、野心家で、自殺などする男じゃない」