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あさくさもうで
浅草詣
伊藤 左千夫
「心の花 第六卷第二號」大日本歌學會、1903(明治36)年2月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,517 字 · 5 页
がわり呼立てる。
もうこうなっては寝ていようとて寝ていらるるものでない、母なるものが起きる、予も起きる、着物もあぶれたというので、上なが起る次なが起る、仲なのも起る、足袋がないとさわぐ、前掛がないと泣きだす、ウンコーというオシッコーという、さわがしいのせわしいの、それは名状すべからずと云う有様。
手水つかうというが一騒、御膳たべるというが一混難、ようやく八時過ぐる頃に全く朝の事が済んだのである。同勢六人が繰出そうというには支度が容易の事ではない、しかも女の児四人というのであるからなおさら大へんだ、午前中に支度をととのえ、早昼で出かけようというのである。
まず第一に長女の髪をゆう、何がよかろうという事、髪はできぬという、祖母に相談する、何とかいう事に極って出来あがった、それから次なはお下げにゆう、仲なは何、末なは何にて各注文がある、これもまた一騒ぎである、予は奥に新聞を視ている、仲なと末なが、かわるがわる、ひききりなしにやってくる。
おとっさん歩いてゆくの、車で、長崎橋まであるいてそれから車にのるの、浅草には何があるの、観音様の御堂は赤いの、水族館、肴が沢山いる、花やしきちゅうは、象はこわくないの、熊もこわくないの、早くゆきたいなア、おとっさん、おっかさんはまだ髪をゆってくれないよ、いま