轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あさまふんかこう
浅間噴火口
豊島 与志雄
「文芸春秋」1938(昭和13)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,938 字 · 24 页
タカは鋭い一声をたてて逃げてきた。キヨが、打震えてるタカと手を取りあい寄りそって、そっと覗きにゆくと、果して、窓の上の鴨居からぶらりと下っていた。足がないし、頭がないし、よく見ると、泥まみれの李の外套だった。それでも気味がわるく、二人は正枝を起しにいった。
正枝はいきなり玄関の中の電灯をつけた。明るくなってみると、下ってるのはただの汚れた古外套だった。椅子を持って来て取りおろさした。鴨居にあるのは小さな錆び釘で、正月の輪飾りをかけた残りのものだった。
正枝は腹をたてて、外套を持っていった。
終日、李は物も食べずに寝ていた。八度ばかり熱があると云った。
晩になると、正枝はキヨを李の室にやった。解熱剤をあげるから来なさい、というのである。
李はおとなしく、着物にきかえ、褞袍をひっかけて出て来た。片肱を長火鉢にもたせ煙管で莨を吸ってる正枝の前に、恐縮したようなお辞儀をした。
正枝はまず解熱剤をのませておいてから、いきなりやりこめた。
「なんですか、昨夜のざまは。」
「済みません。昼間雪が降ったから、嬉しくなって……。」
正枝は眼を瞠った。
「夜はもう解けてましたよ。