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うみからきたつかい
海からきた使い
小川 未明
「少女倶楽部」1925(大正14)年1月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 6,149 字 · 13 页
町の人々は、たくさん海辺へ出て沖の方をながめていました。そのうちに、もうろうとして夢のように、影のように、どこの景色とも知らない、山や、野原や、紫色の屋根などが浮かんで見えたのであります。
「ああ、わたしのふるさとの景色だこと。」といって、少女は飛び上がりました。天国から、下界へきてはや三年の月日がたったのであります。その間にいろいろの人間の生活に触れてみました。しかし、いまやふるさとに帰るときがきたのであります。
町の人々は、不思議な景色が見えなくなると、家の方に帰りましたが、少女だけは、岩の上に立って、沖の方をいっしんに望んでいました。そのうちに、一そうの赤い船が、こちらをさしてこいできたのです。少女を迎えにきたのでした。少女は、それに乗ると、ふたたび天国をさして去りました。このやさしい天使は、永久に、この下界に別れを告げたのでした。
天国には、やさしい天使のお母さんが、我が子の帰るのを待っていられました。三年の間、下界に苦しんできた子供に、なんの変わりもなければいいがと心配していられました。小さな天使は無事に、ふたたびなつかしいお母さんを見ることができました。