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うみからきたつかい

海からきた使い

小川 未明

「少女倶楽部」1925(大正14)年1月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 6,149 字 · 13 页

青空文庫

「どうして、私がゆくところを知っているの?」と、お嬢さんはいいました。

「わたしは、お姉さんが、おいでなさるところをよく知っています。お姉さんは、これから舞踏会においでなさるのでしょう。わたしは、おじゃまをいたしませんからどうかつれていってください。わたしは、みなさんの踊りなさるのが見たいのです……。」と、少女は頼みました。

「いいえ、おまえさんをつれてゆくことなどはできません。はやく、お帰りなさい。」と、お嬢さんは、迷惑そうにいって、さっさとあちらへいってしまいました。

少女は、お嬢さんの行方をうらめしそうに見送っていますと、お嬢さんの姿は、夕もやのうちに隠れて、消えていってしまいました。少女は、しかたなく、さびしい方へと歩いてゆきました。

もう日は暮れかかっていました。街を離れると、家の数がだんだん少なくなりました。そのとき、途の上で、ちょうど自分と同じ年ごろの少女が、赤ん坊を負って、子守唄をうたっていました。この子守唄を聞くと、歩いてきた少女は、すっかり感心してしまいました。

「なんという、情けの深い唄だろう。天国にも、これより貴い唄を聞いたことはない。