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うみからきたつかい

海からきた使い

小川 未明

「少女倶楽部」1925(大正14)年1月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 6,149 字 · 13 页

青空文庫

」と、娘は答えました。

少女は、しんせつが、かえって迷惑になってはいけないと思って立ち去りました。

「はやく、あなたのお母さんのおなおりなさるように祈っています。」と、少女は、立ち去るときにいいました。

少女が歩いてきますと、あとから赤ん坊を負った娘が追いかけてきました。そして、少女を呼び止めました。

「あなたのお家はどこですか……。」

少女は、さびしそうに、娘の顔を見て、微笑みながら、

「わたしの家は、遠いんですの……。」と答えました。

娘は、聞いてびっくりしました。

「あなたは、こんなに暗くなって、どうしてお家へお帰りになることができるのですか……。きたない家ですが、今夜、私の家に泊まっていってください。」と、娘は、真心をこめていいました。

「わたしのことなら、どうぞおかまいなく……。」といって、少女は、とっとっとあちらへ去ってしまいました。

その晩は、雨になりました。娘は、うす暗い家のうちで、赤ん坊の守りをしながら、先刻、前を通ったやさしい少女は、いまごろどうしたろうと思って、その身の上を案じていたのです。しかし、この夜から、お母さんの病気は、だんだんいいほうに向かいました。