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うみのほとり

海のほとり

芥川 竜之介

两个大男孩窝在海边旅馆,闲聊看书打瞌睡,梦里有人深夜敲门。现实和梦境混在一起,暧昧又慵懒的夏日故事。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,015 字 · 13 页

青空文庫

わが私の餞別ならず、里見殿の賜ものなるに、辞わで納め給えと言う。」――僕はそこを読みながら、おととい届いた原稿料の一枚四十銭だったのを思い出した。僕等は二人ともこの七月に大学の英文科を卒業していた。従って衣食の計を立てることは僕等の目前に迫っていた。僕はだんだん八犬伝を忘れ、教師になることなどを考え出した。が、そのうちに眠ったと見え、いつかこう言う短い夢を見ていた。

――それは何でも夜更けらしかった。僕はとにかく雨戸をしめた座敷にたった一人横になっていた。すると誰か戸を叩いて「もし、もし」と僕に声をかけた。僕はその雨戸の向うに池のあることを承知していた。しかし僕に声をかけたのは誰だか少しもわからなかった。

「もし、もし、お願いがあるのですが、……」

雨戸の外の声はこう言った。僕はその言葉を聞いた時、「ははあ、Kのやつだな」と思った。Kと言うのは僕等よりも一年後の哲学科にいた、箸にも棒にもかからぬ男だった。僕は横になったまま、かなり大声に返事をした。

「哀れっぽい声を出したって駄目だよ。また君、金のことだろう?」

「いいえ、金のことじゃありません。ただわたしの友だちに会わせたい女があるんですが、……」