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うみのほとり

海のほとり

芥川 竜之介

两个大男孩窝在海边旅馆,闲聊看书打瞌睡,梦里有人深夜敲门。现实和梦境混在一起,暧昧又慵懒的夏日故事。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,015 字 · 13 页

青空文庫

Mは膝ほどある水の中に幾分か腰をかがめたなり、日に焼けた笑顔をふり向けて見せた。

「君もはいれよ。」

「僕は厭だ。」

「へん、『嫣然』がいりゃはいるだろう。」

「莫迦を言え。」

「嫣然」と言うのはここにいるうちに挨拶ぐらいはし合うようになったある十五六の中学生だった。彼は格別美少年ではなかった。しかしどこか若木に似た水々しさを具えた少年だった。ちょうど十日ばかり以前のある午後、僕等は海から上った体を熱い砂の上へ投げ出していた。そこへ彼も潮に濡れたなり、すたすた板子を引きずって来た。が、ふと彼の足もとに僕等の転がっているのを見ると、鮮かに歯を見せて一笑した。Mは彼の通り過ぎた後、ちょっと僕に微苦笑を送り、

「あいつ、嫣然として笑ったな。」と言った。それ以来彼は僕等の間に「嫣然」と言う名を得ていたのだった。

「どうしてもはいらないか?」

「どうしてもはいらない。」

「イゴイストめ!」

Mは体を濡らし濡らし、ずんずん沖へ進みはじめた。僕はMには頓着せず、着もの脱ぎ場から少し離れた、小高い砂山の上へ行った。それから貸下駄を臀の下に敷き、敷島でも一本吸おうとした。しかし僕のマツチの火は存外強い風のために容易に巻煙草に移らなかった。