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うみへ

海へ

小川 未明

「日本少年」1918(大正7)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,099 字 · 7 页

青空文庫

」

と父親はいいました。

龍雄は、父親に連れられて汽車に乗って田舎にゆきました。そしてやがて父親だけが一人家へ帰ってきました。龍雄は田舎に残されたのであります。

それから三、四日たって、やはり日暮れ方のことでした。

「龍雄さんが帰ってきましたよ。」

と、外に遊んでいた子供が家へ知らせにきました。両親は顔を見合わせてびっくりしました。そして外に出てみますと、まさしく龍雄でありました。

両親はわが子を家に入れてからさんざんにしかりました。そして、なんで帰ってきたか? どうして遠いところを帰ってきたか? と聞きました。

「俺は酒屋の小僧なんかになるのはいやだから家へ帰ってきた。銭がちっともないから鉄道線路を歩いてきたよ。」

と、泣きながら龍雄は答えました。

両親は、そのことをおじいさんに話しますと、おじいさんは笑って、

「これは四里や五里の近いところへやったのではだめだ。百里も二百里も遠いところへやらなければだめだ。」

といいました。

そのとき、ちょうど都から、この村にきている質屋の主人が、

「そんなら、私どものところへ連れてゆきますが、奉公によこしてくださらんか。」