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きえたうつくしいふしぎなにじ

消えた美しい不思議なにじ

小川 未明

「童話」1921(大正10)年8月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 8,038 字 · 16 页

青空文庫

また、中には苦痛にたえられないで、泣いているのもあります。中には片腕を切られ、また両脚を切断されて不具者になっているのもあります。そして今夜にも死にそうな重い病人もありました。

姉は、これらの人々を見ると、さも心からうれしそうにほほえみました。

「わたしの顔がいくら醜いといったとて、よもやこれほどではあるまい。」といって、なおあたりをさまよっていました。すると、すぐ隣には狂人を容れた病院があったのです。

その精神病院には、女や、男の白痴がうようよしていました。昼も夜も見分けがつかずに、彼らは泣いたり、わめいたり、悲しんだり、また声をたてて笑ったりしていました。そしてじっとしているものもあれば、また、たえず歩きまわっているものもありました。

これを見ると、残忍な姉は、あまりのうれしさに身震いがしたのです。

「ああ、これでいい。下界の破滅も近づいた。」といいながら、歩いていますうちに、いつしか街へ出てしまいました。

そこには、大きな建物が、ひっそりとして死んだもののように横たわっていました。姉は、右を見、左を見ていますうちに、一軒燈火のついた明るい店を見つけました。