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きえたうつくしいふしぎなにじ

消えた美しい不思議なにじ

小川 未明

「童話」1921(大正10)年8月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 8,038 字 · 16 页

青空文庫

ているのでした。そしてまたそのへやの中には、ピアノがあったり、ぜいたくな飾りのついた鏡が置いてあったり、ほかにも大きな額などがかかっていました。

「わたしは、みんなの幸福をのろったけれど、こういうように、ある一部の人々が不しあわせで、ある一部の人々がしあわせであることを望まなかった。わたしは、なにもある一部の人たちにかぎって憎しみがあるのではない。平等にみんなをのろったのであった。それだのに、この有り様はどうしたことであろう。」と、灰色の着物を着た姉は思いました。

彼女は、その夜の中に、黒い流れのほとりに帰ってきました。そして、黒い森の王さまにしたふくろうを呼び出して、なぜうそをいったかとしかって、森の中から追い出してしまいました。

うす紅色の着物を着た妹は、このうえ黄金の砂を河に投げることは、かえって不幸の人々を増すばかりだといって、ついに幸福を下界に送ることを見合わせてしまいました。独り灰色の着物を着た姉は、どうかしてみんなを、一度はわざわいの砂と水に浴びさせて、苦しめてやらなければならないといって、執念深く、いまだに夜も昼も黒い砂をまき、黒い河水をすくって下界に向かってまいているということであります。