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なみだをもってせいぎをささえる
涙をもつて正義をささえる
金森 徳次郎
「第八回検察文化の会」1956(昭和31)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,332 字 · 38 页
たまたま法を守つて食物が少くなつて餓え死んだところの某裁判官の如きも、当初は誰も同情したが、後に至ると、肚の中では愚かしき法の犠牲だと思つておつた人があるかも知れん。結局は強いものが勝ち或は多数が勝つのであります。その多数は国民の全部ではなく、あるところに盤踞した勢力、影響のつよいものの言うことが勝つのではないでしようか。こんなことでは法の大部分をとり去つてしまうような国の方がまさるのではないかとも考えられます。しかしこれは全く書生の一家言にすぎないのでございます。だが、この中にいろいろ大きな問題がふくまれておるような気がいたします。理屈は複雑でございまして、ここでは解決いたしませんが、法律があり、秩序があり、守るべき原則があつても、人人はこれを捨てて省みず、国家もこれを守らないのです。これはひとり食料の問題ばかりでございません。もつと大きな法律が出ておつても、それを一つも守らない方が正しいように思われることもないとは言えません。例えば、衆参両院のいずれかの議員の何分の一かが国会を開けといつたら必ず国会を開かなければならぬということがあるにも拘わらず、未だ、かつて素直に開かれたことはございません。