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なみだをもってせいぎをささえる
涙をもつて正義をささえる
金森 徳次郎
「第八回検察文化の会」1956(昭和31)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,332 字 · 38 页
法律というものが又正義の本体であると考えられております。法律という言葉をラテン語でいうとユスと言います。ユスという言葉は正義ということでございましよう。従つて法は正義なりというのが正当でありますが、実際にあてはめてみるとどうも喰い違いがあるという気持がございまして、ここに法律を軽蔑し、従つて法律に従うことを軽蔑し、従いまして法を執行することを軽蔑し、更に日本の法律にはつきりと謂わば悪いことをしたもの必ずしも起訴するものでないということが刑事訴訟法に書いてあります。それには勿論相当の理由がありますがちよつと面倒な関連をもつてくる思想であります。そういうような自由起訴主義ということを否定する意味でもございませんが、そんなことにも関係があろうと思うのであります。そこで私共は正義というものは一応どんなものだろう。虎の皮を上にもつていなければ虎ではない。同じように我我は人間が生きてゆくかぎり如何なることを軽く見るも時と場合によりましようが、正義だけは何とかして守つてゆきたいのだという気がいたします。その正義の実体は何であろうか。本当の説明は私にはできませんが、何かつり合いということを含んでいる。